もう食べられない

パズドラが好きです。食べ物のことはあまり書きません。

【漫画】頼むから読んでくれ(彼方のアストラ)

篠原健太先生の『彼方のアストラ』が完結し、コミックス最終巻が発売されました。

 

篠原先生の前作は週刊少年ジャンプで連載されていた『SKET DANCE』。これもおもしろかった。アニメ化もされたしご存知の方も多いですかね。

 

 

『スケダン』の連載終了後、今度はスマートフォンアプリの『ジャンプ+』でこの『彼方のアストラ』をスタートさせました。2018年2月6日現在、期間限定で何話かまで無料で読めるようです。

 

shonenjumpplus.com

 

ストーリーはこんな感じ。

 

民間人が宇宙船に乗るような時代のお話。とある高校の校外実習は、面識のない生徒同士で班を作り、その班員が惑星でキャンプするというものだった。生徒たち(+お子様1名)が惑星に降り立ち、探索を始めようとすると謎の光の球が現れ、生徒たちを消し飛ばしてしまった。

 

飛ばれた先は宇宙空間。なぜか付近に漂っていた宇宙船に乗り込むと、そこは母星から5千光年以上離れた地点と判明。帰還は不可能と思われたが、水と食料を補充しながら惑星伝いに進めるルートを発見した。一縷の望みにかけた冒険の旅がいま始まる…。

 

みたいな。ベースはSFですね。で、コメディ要素あり、ズバッと王道の泣かせありといろいろ盛り込んでいるにも関わらず全5巻の中でしっかりと物語を描ききってこれぞハッピーエンドという終わり方をした名作です。

 

それにしても篠原先生はストーリーの組み立てがうまい。今作では「自分とは」みたいなテーマもあったりするのですが、登場人物それぞれがその答えを出すところまで描くのってなかなか難しいと思うんです。しかも読者が見ても納得のいく答えをです。ストーリーを作るのが上手いのと同時に、キャラクターの作り方も上手なんでしょうね。絶対に計算して作ってるんだろうなと思っちゃうんですけど、まんまと取り込まれてしまいます。

 

伏線絶対回収するマン

 で、これは前作からそうなんですが、この先生、伏線貼ってそれを回収するテクニックが最強すぎて、読んでて何度も「うわああああ」ってなるんです。「1話のなかで」みたいな短いスパンでの回収だけでなく、「ひとつのシリーズ(星)」のなか、さらには何話も前の何気ない日常会話のひとつを、急にどシリアスなシーンで回収してきたりするんですよね。

 

ただ単に笑わせたり泣かせたりするだけでなく、そういう驚き(や謎解き)を織り込んでいるのでもう一度読み返したくなるし、読み返すとまた新しい発見があるんです。

 

連載開始からほぼリアルタイムで追い続けていたのでわかるんですが、後半になるにつれてSNS界隈での盛り上がりがすごかったです。それは人気が出てきたからでもあるんですけど、回収する伏線が大きすぎて、「あれがこうだったとは!」と叫ばずにいられなかったからだと思います。

 

短いスパンの伏線だと「おお、なるほど」くらいだったのが、そういう規模の大きなものだと「マジで!??!?いつからそうだったの!???!?!いつからぁぁぁぁぁ!!?!?しゅごしゅぎない?これしゅごすぎないぃぃぃ????」みたいになっちゃうわけですね。

 

もっと売れてほしい

 篠原先生自身もデジタル作画の導入や、Twitterアカウントを使った情報発信や読者との交流、リサーチ等々新しい試みに挑戦した作品だったと思います。『スケダン』連載時と比べると読者の反応も可視化されやすくなっており、人気あるんだなと思っていたのですが…。

 

 

 なるほど。そうなんですね。掲載媒体の問題なんだろうか。週刊少年ジャンプならあるいはもっと「売れた」のかもしれないですね。いまと同じクオリティを保てたかという問題もありますが。

 

でもなあ、本当にこの作品は売れて欲しい。このポストではお話の内容やキャラクターの紹介は一切しないで作品を紹介しているのでだいぶフワフワしてるんですが、それは素のままでこの作品に触れてほしいからです。連載を追っていた自分のように驚きを感じて欲しいんです。だから1巻の誰々のセリフにはじつはこういう理由があったんですねえなんて話はしたくてウズウズしていますがしません。

 

ああ、あと薦めやすいボリューム感というのも理由のひとつです。なんなら少しでも興味持ってくれた人にはKindle版をプレゼントしたいくらいです。いや、まあ、本当にそういうご連絡をされても無理なのでやめてください(笑)。

 

漫画界隈は「なんとか村」の問題とかいろいろありますが、本当によい作品は買うし、売れるはずです。僕はこの作品がそうであってほしいと切に願います。